NHKでイギリスの小説家カズオ・イシグロの
番組を放送していました。
「カズオ・イシグロをさがして」
(昔、テブラ・ウィンガーを探して、という映画ありましたね。
誰も知らないかな。ま、どうでもいいか)
これは見逃せない!
その名前ゆえ、謎と憧れの小説家でした。
イシグロ氏を知ったのは映画「日の名残り」。
老執事の回想でイギリス貴族社会や文化
人間模様を実に細かく美しく描いた映画の原作者が
日本人だと知って驚きました。
日本人とはいっても5歳からイギリスに移住し
イギリスの教育を受け、日本語も殆ど話せないという
英国の作家。
生い立ちからたくさんの名作の話まで
生のイシグロ氏の声が聞けた見ごたえのある番組でした。
「記憶」
これはイシグロ氏の作品に欠かせない重要なテーマだそう。
印象的だったのが、小説家になったきかっけ。
若い頃はミュージシャンをめざしていたそうです。
5歳まで長崎で暮らしていた日本への記憶。
それをもとに「私の日本」というものがあったそうですが
実際存在する本当の日本ではなく
子供の頃の記憶、本、映画などの情報で
頭の中で作り上げた日本だったと。
時とともに「私の日本」はどんどん色褪せていく。
「記憶」というものを写真のようにとどめておきたく
「小説」という手段を選ぶようになったとか。
かなり大人になってから国籍を
日本からイギリス国籍に変えたそうです。
理由は「感情的に日本人でありたい」気持ちはあっても
人生の殆どをイギリスで過ごし教育も言語も英語。
日本語を話せない自分にとって
母国日本が世界で一番訪問や滞在が難しい国。
自分が思う日本人には絶対になれないと悟ったそうです。
イシグロ氏の言葉は小説同様
ストレートに心に響きました。
冷静にあたたかく物事を見つめる姿。
絵画のように色鮮やかな言葉の小説。
映画化された「私を離さないで 」。
明日、まずは本屋に直行です。