2013/09/12

ブラッハーさんの渋い音




先月、コリヤ・ブラッハーさんの
ヴァイオリン・リサイタルへ。
 
トッパン・ホールの案内チラシをみるまで
ブラッハーさんの事は知りませんでした。
 
ドイツの有名な作曲家ボリス・ブラッハー氏がお父様。
アバド時代のベルリン・フィルのコンサートマスターを
最年少30歳で務めた時期もあったとか。
 
演目がバッハをメインに全て「無伴奏」
しかもトッパン・ホールですから
楽しみに行きました。
 
聴いてびっくり。
「なんて渋いヴァイオリンの音、友達のビオラみたい」
弦楽器など弾いたこともない私が思いました。
とても太く、ずっしりしたような安定した音。
高音でもそれなりに渋い音・・・。
 
その渋い音が実に気持ちよく
身体の緊張もリラックス。
 
バッハは登場するなりチューニング数秒で
いっきに弾ききりました。
それがまたナヨナヨしてなくて飽きなくて
(眠くならなくて)渋くていい。
 
バルトークとお父様のソナタが
素敵でかっこよかった。
「シャレオツ」。
 
譜面台7台を並べて横に移動しながら
弾いたベリオ・セクエンツァⅧも
聴き惚れました。
 
プログラムを読むとブラッハーさんの
ストラディヴァリウスは1730年製
「トリトン」と呼ばれている名器で
キミコ・パワーズ氏より貸与されたもの、とありました。
 
あれ、キミコ・パワーズさん、耳にしたことある名前。
 
そうです、最近まで新国立美術館で開催の
「ポップ・アート展」でおなじみアンディ・ウォーホル。
彼の作品に登場した唯一の日本人女性がこのキミコさん。
 
 
この展覧会のために偶然来日していたのか
キミコさんご本人が数メートル前方の席に。
素敵なマダムでしたが、私はこの方がウォーホルに
会った事があるんだ・・・と思うだけで
尊敬のまなざしでその光景を
休憩時間に眺めて楽しみました。
 
話は楽器に戻りますがこの「トリトン」、
ストラディヴァリの最晩年のものだとか。
特徴が少し陰影のある深みのある音色だとか!
これを知ったとき渋い音だな、と思った
「自分の耳もなかなかやるじゃん」と
自己満足しました!
 
黄金期と呼ばれるたくさん製作した頃のは
いわゆる華やかで明るい音色が特徴だそう。
 
途中から頭にウォーホールのカラフルな絵が
浮かんでしまいました。
それがまた、バルトークの音楽とぴったり合って
いい気分で楽しみました♪
 
終演後、ロビーでサイン会の前にブラッハーさんは
かなりご高齢の日本人男性に歩み寄って
抱き合っていました。
その方はなんとブラッハーさんが子供の頃に
ヴァイオリンを教えた先生なんだとか。
それを聞いて感動しました。
 
翌日は大好きなチャイコフスキーの協奏曲を
演奏されたそうです。
仕事で行けませんでしたが
この渋いヴァイオリンで聴いてみたかったです。
 
終演後、トッパン・ホール恒例のサイン会。
「え、顔にですか!?」と思わず言ってしまいました。
「そう、顔だよ!」といたずらっ子のように笑っていました。
 

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