ベルリンでの感動の余韻が未だ続く中、
カヴァコスが来日しました。
NHK音楽祭で巨匠ゲルギエフ指揮
マリインスキー劇場管弦楽団との共演でした。
シベリウス・ヴァイオリン協奏曲です。
この曲は有名ではありますが
果たして誰もが「いい曲ね~♪」というかというと・・・。
静かで暗いトーンで、ジャンジャン盛り上がる曲でも
ありません。淡々と流れていくような曲です。
ただ、この曲に一旦魅了されたら「中毒」になる曲です。
摩訶不思議な光景がよぎるトランス感覚の曲かもしれません。
カヴァコスのこのCDは
何百回聴いてるかわかりません。
いろいろな名演奏家のも持っていて
それぞれ豊かな演奏で素晴らしいのですが
1回聴くと、お腹一杯でしばらくはいい。
でも彼のは毎日聴いても
飽きないどころかその度に感動します。
つい先日に生で聴けたなんて
今思い出しても夢なんじゃないかと。
カヴァコスの録音で特に心が震えるツボの箇所が
いくつかあるのですが当日の生演奏でも
「そのまま」だったのが感激でした。
天まで伸びて引っ張って氷の壁を突き刺すような
細くて濁り一つない究極の高音なんて
腕の産毛が逆立つようでした。
(なーんて脱毛した腕に毛はありませんが!)
第2楽章は意外と濃厚な演奏でした。
この楽章でも必ずと言っていい程泣ける箇所が
あるのですが、やはり「やられました」。
カヴァコスの音はおそらく細くで繊細なのに
なんで音が大きいんだろう、と思いました。
大きいというより、通る、っていうのかな?
専門的な事はわかりませんが
消えそうな小さな音が
大きなNHKホールに響きわたっていました。
大きな身体と手のカヴァコスが持つストラディバリウスは
お子様ヴァイオリンみたいに小さく見えました。
演奏が終わって感無量でロビーで休憩。
その時、とても素敵な場面に遭遇しました。
小学生の女の子がお母さんに向かって
「いままでで一番いい音楽だった!
感動した~感動した~!」
それから扉にいた若者の男の子達が
「ヤベーヤベー、あの演奏!
カヴァコスまじ、かっこいい」
そういえば別の日のリサイタルでも
カヴァコスは中学生や女子学生達に囲まれて
サインや写真サービスで盛り上がっていました。
ヴァイオリン・ケースを担いだ学生服で来た
男の子の嬉しそうな顔が今でも浮かびます。
ベルリンでも若手のオケメンバー達に
囲まれてとても慕われていました。
やっぱり「アニキ」です。
よくインタビューで言っています。。
「若い人達の純粋さや柔軟性にいつも魅了されてる」
学生達の指導をするのが大好きだそうです。
カヴァコスの透明でまっすぐな音楽は
同じく純粋な若者の心へ直球ストライクなのかも。
カヴァコスのライブを聴いて(見て)
「ヤベー、俺もヴァイオリンやるかな」
という若者が増えればいいと思います。
話は演奏に戻りますが
共演のオーケストラがイマイチでした(笑)。
(おまけ1)
一緒に行った友達の感想抜粋:(毎度ながら感性豊か♪)
NHKホールのシベリウス良かった~
こんな陶酔中々できないよ。
オケのマリンスキーがちょっと??なとこもあったけど
透明で限りなく澄んだ、
冷たい風が吹き抜けていったようなヴァイオリン。
決して大げさに演奏してるわけじゃないのに、
感情豊かで、暖かい演奏。人柄かな。
途中、オケのパートを一緒に演奏した部分あったよね?
それ見て、良い人なんだろうな~って思った。
(おまけ2)
仕事中にFM生中継を聴いていた
ビオラを弾く友達のコメント:
1楽章、少し走り気味?まさに「ライブ」という感じ。
最後の方、アルペジオのところかな?弓飛ばしてる?
ひとつひとつの音がくっきりわかる。
すごい、ステージを見たい!
2楽章、ねっとり聴かせるね。
このオケ…ゲルギエフの指揮ぶりが目に見えるようだわ…
何か、細かい部分で私の記憶のシベリウスと違う気がするのは
こんなに真剣に聴いてなかったのと、
最初の(オリジナル版)シベリウスのを聴いてしまったから??
3楽章、迫力。
ハーモニクスもきれい、
最後は、思ったよりあっさりと終わった感じ。
あっという間。楽しい時間は短いのね。
…で、やっぱり、これ、直立不動で弾いてるの??